MENU

耳の症状

Symptom of the ear

耳の症状Symptom of the ear

外耳炎

外耳炎

耳の穴から鼓膜までを外耳といいますが、外耳に細菌が入って起こす炎症が外耳炎です。ウィルスや真菌による感染の場合もあります。指の爪や耳かき棒の先端などで耳の中を引っ掻いて、そこの傷に菌が入って発症することが多いです。耳鏡による視診や触診を行い、細菌検査による原因の特定も重要です。

治療は外耳道の洗浄、ステロイドや抗菌剤の入った塗り薬及び点耳薬が用いられます。痛みが強いと鎮痛剤も必要になります。外耳炎の中には真菌(カビ)に感染して外耳道真菌症を発症することもあります。強い痒みや耳漏、痛みや難聴、耳の閉塞感といった症状が現れます。治療には、外耳の洗浄、抗真菌剤の塗布などの局所治療が主体となります。真菌の落屑物(らくせつぶつ)をきれいに除去することが大変重要です。

耳垢

耳垢には2種類あることがよく知られています。乾燥しているものと粘性のものです。この違いは遺伝的に決まっていると言われており、日本人は7割が乾燥型です。耳の穴から鼓膜までの外耳道は、正常であれば、耳垢が外側に向かって移動します。
その為、耳の奥まで無理に掃除しようとする必要はありません。外耳道には刺激すると快感を覚える神経があって、心地よいものですが、過度の掃除によって傷が付くと外耳炎に至る場合がありますので、注意が必要です。耳掃除は月に1回程度で充分です。小さいお子さんや高齢者の方は耳鼻科で掃除してもらう方が無難です。小児の場合、耳の穴が狭いため為取りにくいことがあります。取りにくい場合には無理せずご遠慮なく受診してください。細かい器具にて取り除くほか、耳垢を溶かす薬など専門的な方法があります。

外耳道真菌症

外耳道真菌症

外耳にできた傷に真菌(カビ)が繁殖する病気で、多くは耳かきの際に傷がつくことが原因になります。また、耳の穴が濡れたままであったりヘッドホンを常時つけたりして湿度が高い状態が続くと、菌が増殖して悪化します。
かゆみや痛み、耳垂れが出る、耳がこもっているような感じがするなどの症状が出、悪化するとかゆみが強まり、黄色や白色の菌糸を含む耳垢が出たりします。再発を繰り返しやすい病気ですので、根気よく治療する必要があります。外耳を消毒して抗真菌剤の点耳や塗布を行います。かゆみが強い場合は抗アレルギー剤を併用することもあります。

耳介軟骨膜炎

私たちが不通に耳と呼んでいる耳介は、耳たぶを除いて軟骨と皮膚でできています。この軟骨が外傷や感染によって炎症を起こすのが耳介軟骨膜炎です。ピアスや急性外耳炎が原因となって引き起こされることもあります。
最初は赤くなって熱を持ち、軽度の腫(は)れが出るくらいですが、次第に耳介全体が厚ぼったくなって痛みも出ます。進行すると耳の形が変わってしまうこともあります。
治療は、まず冷やすことです。ただし、耳は凍傷を起こしやすいので、氷などを直接当てないようにしましょう。さらに抗生剤や消炎鎮痛剤を投与します。炎症がひどいときは副腎皮質ステロイドを用いることもあります。

耳介血種

耳に強い打撲や摩擦を受けたときに、耳介内部で出血してできる血の塊。柔道や相撲、ラグビー選手などに多く見られます。耳介は皮下組織がとても薄いので出血しやすいのです。血種は皮膚の下や軟骨と軟骨膜の間にできます。
症状が軽いときは放置して治るケースがありますが、腫(は)れが強いと針を刺して血を抜きます。一度では抜けきらないことが多く、切開する場合もあります。治すためには、なるべく耳を圧迫しないようにする必要がありますが、スポーツ選手の場合、血種ができても練習を続けるので、耳介が固く変形するケースもよく見られます。

外耳道異物

耳の穴に外部から虫が飛び込んだり、誤って小さなものを詰めて取り出せなくなったりする状態です。子どもの場合、豆や丸めた紙、ビーズなどを入れることがよくあります。異物の大きさにもよりますが、異物が耳の穴をふさぐため、耳が詰まったようになります。虫が入ると、内部でガサガサと動く音がし、皮膚や鼓膜にかみついて痛みが出たりしますし、入った豆が内部でふやけて外耳道を閉じてしまい、難聴の症状が出ることもあります。
異物を取り除けば症状は治まりますが、自分でやろうとすると、かえって奥に押し込むこともありますから、耳鼻咽喉科で処置してもらうのがいいでしょう。特に、虫が入った場合は奥に進むうえ、とげがあって抜き出しにくいこともありますから、早めに医師にかかりましょう。

中耳炎

中耳炎

鼓膜の奥の中耳に炎症を起こす病気で、多くは急性中耳炎です。原因のほとんどは、鼻の奥からつながっている耳管を通じて細菌やウイルスが入り込むことで、耳に激しい痛みを感じ、耳が詰まったような状態になります。風邪がはやりやすい冬季に多く、子どもがかかりやすい病気です。中耳炎がひどくなると中耳に膿(うみ)がたまり、鼓膜に穴が開いて、膿が耳から出てくることもあります。抗菌薬の内服で、通常は3日ほどで治りますが、長引く場合には、状況によっては鼓膜を切開して治療します。

滲出性中耳炎

急性中耳炎同様幼少期の代表的な病気の一つです。鼻水がなかなか治らないや急性中耳炎の症状が治ったのちに、鼓膜の中、中耳という場所に水が貯まった状態です。多少耳が詰まっているかなといった程度の症状です。しかしながらこの状態が長期化すると、中耳の発育の悪化、難聴が出現、将来慢性中耳炎や中耳真珠腫の原因となります。治療としては処置や内服でなかなか改善しない場合には鼓膜切開、鼓膜にチューブを挿入する処置を行います。まずは、鼻風邪をひかない、またはひいた時はすぐに治療をすることでケアするのが重要です。
症状には乏しいですが、将来の合併症を予防する為にもしっかりと治療を行うことが大事です。大人に見られることは珍しいですが、時に上咽頭(鼻の奥)に腫瘍が認められることがあります。耳や鼻の処置のみでなく、内視鏡検査で上咽頭をチェックしておくことが重要です。

真珠腫性中耳炎

鼓膜や耳の皮膚の一部が鼓膜の中に入り込み袋状(真珠腫)となりそこに角化物(いわゆる垢)が貯まり大きくなることで、ゆっくりと周りの骨を破壊してゆきます。原因は充分に解明されていませんが、幼少期に急性中耳炎や滲出性中耳炎を繰り返している例が多く見られます。多くは無症状で経過する為、ある程度大きくなった状態すなわち中耳の骨が破壊された状態で耳だれや難聴で発見されます。
基本的に手術治療が必要となりますが、症状が軽度であったり、高齢者であった場合は感染の予防や処置で経過を見てゆくことがあります。

耳鳴り

「ジーン」とか「キーン」といった音が不規則に聞こえるようになったりずっと聞こえたりする症状のことです。加齢やいろいろな病気に伴って起こることが多いのですが、耳鳴りが起きるメカニズムは分かっていません。ほとんどは自分にしか聞こえず、耳鳴りが原因で精神的に不安定になったりストレスを高めたりします。逆に、ストレスが耳鳴りの原因になることもあります。
耳鳴りを起こす病気には、メニエール病、突発性難聴、老人性難聴、中耳炎、聴神経炎といった耳の病気だけでなく、高血圧や脳腫瘍、脳血管の異常などが原因となることがありますので、放っておくのは危険です。
診察を受けて関連する病気が見当たらないようなら完全に治すことは難しいので、耳鳴りに意識を向けすぎないように生活することが大切です。

突発性難聴

突然、何の前触れもなく片方の耳が聞こえなくなる病気です。原因はわかっていませんが、ウイルス説や内耳に血液が十分に届かずに機能不全を起こす内耳循環障害説が考えられています。睡眠不足や風邪が引き金になることがあるとされ、改善・回復するためには少しでも早い治療が必要です。
難聴には、外耳や中耳に障害があって音の振動が伝わりにくい伝音性難聴と、内耳とそこから続く聴覚神経に問題がある感音性難聴に分かれますが、突発性難聴は感音性難聴の代表的な病気です。全く聞こえなくなるケースのほか、耳が詰まったようになって聞こえにくいケースがあり、耳鳴りや吐き気を伴うこともあります。
点滴による治療法は確立しており、48時間以内に治療を受ければ改善する可能性が高い一方、1週間を過ぎると治療によっても改善困難とされます。

急性低音障害型感音難聴

比較的若年の女性に多く、耳詰まり感や耳鳴りなどが症状となります。症状が強くなるとめまいなどを伴うことも多く、今までは突発性難聴と言われるケースも多い疾患です。突発性難聴と比較すると、聴力検査をしてみると低い音(500HZ以下)のみの聴力低下を認めていて、軽度であればよく睡眠を取ることのみで改善します。
耳鳴りや耳詰まり感の症状が数日持続する際には受診し、聴力検査や診察を受けましょう。ステロイドや利尿薬、循環改善薬の内服で治療をします。内耳のむくみが原因と言われており、約30%程度は再発を繰り返します。めまいを伴うとメニエール病と呼ばれます。体調管理が重要で、時に漢方が処方されます。

補聴器

衰えた聴覚を補う器具で、高齢化によって加齢性難聴が増えるにつれ、使用する人が増えています。しかし、補聴器をつけたかからといってどんな音も聞こえるようになるわけではなく、音域によってはかえって明瞭に聞き取れないこともありますので、慎重に選ぶ必要があります。
補聴器には耳の穴に差し込む耳穴型や耳掛け型などがあり、その中でも多くのタイプが作られています。最近は、よりよい聞こえを求めてオーダーメイドする人も増えています。
2018年から聴覚障害者は医療費控除を受けられるようになりました。補聴器専門医を受診して、必要事項が記載された書類をもらったうえで購入する必要があります。また、障害者福祉法により、聴覚障害者は1割負担で購入できますし、購入に助成制度のある市町村もあります。

めまいDizziness

メニエール病

メニエール病

内耳の病気で、回転性のめまいと難聴、耳鳴り、耳が詰まったような症状が同時に出ます。いったん症状が治まっても、繰り返すことが多く、次第に悪化していくケースもあります。
めまいは数十分から数時間断続的に続き、この間、著しい眼振がみられます。脳には異常がないため意識ははっきりしており、吐き気をもよおすことも多いです。
内耳のリンパ液が過剰になって前庭と蝸牛の感覚細胞が障害されて引き起こされますが、その誘因としてストレスなどが指摘されています。早期の治療が必要で、生活改善を促すとともにリンパ液を減らす薬を服用します。長引くと治りにくくなり、手術や平衡機能訓練を行うことがあります。
外耳の傷がきっかけとなりますから、予防のためには乱暴な耳かきをしない、耳かきを頻繁に行わない、特に子どもは汚れた指で耳の穴をかかないことなどが大切です。

良性発作性頭位めまい症

朝起き上がる時、起き上がってからちょっとしてぐるぐる目が回って立っていられず、数分間待っていたら症状が良くなったが、また同じことを繰り返すと目が回るというのが典型的な症状です。頭をぶつけた後などにも、同じ方向に頭を動かすと目が回るというのも良く見受けます。耳鳴りや聴力低下を伴わず、頭を動かすことにより誘発される眩暈(めまい)がこの病気の特徴です。まずは受診し、赤外線カメラでめまいが起きる頭の動きを行い、目の揺れ(眼振)が誘発されることを確認します。治療は、めまい症状が強いうちはめまい止めや吐き気止めの内服となりますが、リハビリ療法も重要となるため指導いたします。

前庭神経炎

風邪などを引いた後、1週間ぐらいしてからぐるぐる目が回って立っていられないというのが典型的な症状です。しかし、風邪など先行する感染などの認識がない場合も多々あります。耳鳴りや聴力低下、その他の麻痺症状などは無く、ひたすら目が回るというのが特徴です。
まずは、受診して赤外線カメラで目の揺れ(眼振)を確認します。また、脳の病気のサインは無いかもチェックします。治療は、めまい症状が強いうちは吐き気止め、めまい止めの内服となりますが、この病気はふらつきが月単位で続くことが多く、リハビリも重要となります。めまいの激しい初期には、安静抗ヒスタミン薬・抗不安薬・副腎皮質ホルモンも有効です。症状は数日間で徐々に減退し、2~3週間後に頭部運動に際するめまい感を残して軽快に向かいます。